今朝(4月11日)*の日経に、2つの興味深い記事が載っていました。
一つは「デジタル政府、骨太の目玉」という記事。
マイナンバーカードに搭載するICチップがデジタル化を推進するというもので、昨日の経済財政諮問会議では骨太戦略のテーマとして取り上げる方針のようです。
* 本ブログは、昨日執筆されたものです。
デジタル化する社会においては、本人が本人であるという真偽の確認が極めて重要になります。この基本ができていないと、他人になりすまして個人情報や金融情報を盗み出したり、あるいは資産そのものを盗みだすこともできてしまいます。デジタル化が進むことで享受できる便利さは、本人性を確認できる方法が基盤にあることが前提なのです。
FPoSが目指しているのは、本人性を簡単に確認できるプラットフォーム基盤を、スマートフォンに実装するもので、かつ電子署名法に基づく特定認証業務として政府から認定を受けて電子証明書を発行するので、様々な場面で公にも、民にも通用する本人性を証明する方法になります。
この本人性特定基盤を金融取引に使うのがFPoSで、これにより、マネーロンダリング対策にも、また中間者攻撃のような高度化・巧妙化する犯罪手口の対策にもなります。銀行にとっては、恐る恐るインターネットバンキングを使ってもらっている状況から、安心して使ってもらえる状況へと変貌します。それは本人であることが法的にも証明でき、かつ中間者等のハッカーに途中で改ざんされていないことを証明できるからです。
今日の技術において、本人性を証明する方法は、ICチップを使い、公開鍵認証基盤を使うことが現実的な解であり、マイナンバーカードはその具体例でもあります。そしてFPoSも同様にICチップと公開鍵認証基盤をベースにしています。すでにマイナンバーカードは、他の認証基盤、例えばFPoSとの連携認証を提供する仕組みを有しています。したがって、マイナンバーカードの用途が広がれば広がるほど、FPoSの用途も広がることになるのです。
以上の観点から、デジタル政府の推進、当然のことながらマイナンバーカードの用途が広がるという記事に注目しました。これが一つ目の記事です。
そして2つ目の記事は、「スマホ決済参加、700金融機関」
QRコード決済は様々な事業者が参入し、混戦模様になっていますが、私が注目しているのは、その基盤としてクレジットカード決済システムを使っているのか、あるいは銀行の決済システムを使っているのかという点にあります。正確に言えばそれほどシンプルにどちらかという分類ができるわけではありませんが、例えばLINE Payのように、裏側はJCBのクレジットカード決済システムを使っているものもあれば、銀行系のデビットカードの決済システムを使っているものとがあります。
この辺りの状況を俯瞰すると、実際にお金を払う消費者と、実際にお金を頂戴する店舗との間に、クレジットカード決済会社と銀行とが二重に機能していることがわかります。お店の人からすれば、クレジットカードで決済されたとしても、自分の銀行口座に入金されてはじめて決済が完了するからです。
インターネットの普及前は、メーカーから問屋、問屋から小売、そして消費者へと、多層な構造があり、それぞれが利益を得るためにトータルの流通コストは高くなっていました。このあたりの中間レイヤーを大幅に削減し、巨大に成長しているのがeコマース事業者です。
決済の分野でも同じことが起きます。その際、クレジットカード陣営が勝つのか、銀行陣営が勝つのか、とても興味深いです。もちろん、この二者以外にも新規参入者が多数存在していますが、多くの事業者は、実はクレジットカード決済システムを間借りして成立しているものが大半なので、その意味ではどちらかの陣営に属しているとも言えます。
FPoSは、QRコードのセキュリティ・レイヤーを提供できるプラットフォームなので、少額決済ではないレベルの普通の決済金額でも対応可能になります。この辺りは、資金決済法の改正により100万円の上限が撤廃されることが明らかになるにつれ、大きく進展していくようです。
以上が、今朝読んだ2つの興味深い記事です。